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「まずは何か食いにいこうぜ」──時速36kmさんが描く銀河鉄道の夜明けについて

2025.3.9

#ライナーノーツ#レコメンド#時速36km#曲紹介

皆さんこんにちは!音文学管理人の池ちゃんです!こちらの天気はなんとなく曇ったり晴れたりしています。気象庁の天気予報をみたら午後から雨のようなので、傘を持ってでかけたいと思っています。さてさて、音文学の今後の方針的なものを昨晩発表させていただきましたが、読んでもらえましたでしょうか。「まだ読んでないよ」っていう方はこちらからご確認頂ければと思います。

ちなみに前回のレコメンドはポカリスエットのCMになったTomgggさんとena moriさんの合作曲「なんんてね」です。こちらも是非チェックしてみてください!

さて、今回ご紹介するアーティスト様は時速36kmさんです。個人的に学生時代に心の支えとなった大切なバンドなので、紹介させて頂きます。時速36kmさんの曲はどれも素晴らしくて、レコメンドする曲に関してかなり迷いましたが、今回は「銀河鉄道の夜明け」を紹介させていただきます。

公式MVをご紹介

まずは、こちらの公式ミュージックビデオをご覧ください!

ストレートなロックサウンドに、ボーカルの仲川慎之介さんの力強い声がマッチした素晴らしいサウンドに仕上がっていると思います。

具体的描写なのか抽象的描写なのか

時速36kmの全体の特徴としては、具体的な情景描写と、そのワードだけでは何を指しているのかがパッと出てこない抽象的描写です。具体的な情景描写としては、

晩飯はどうしよう 温かくて安いものがいいな
時速36kmさん公式サイトより

という歌詞はとても具体的です。特に一人暮らしをしている人や大学生には刺さる歌詞なんじゃないでしょうか。温かくて、かつ安いものが良い。そんな何気ない日常を切り取った描写が私としても心に刺さりました。

一方でこのような歌詞もあります。

泣きそうになってら さみぃから余計響くのかなぁ
パンクロックと黄色い月 銀河鉄道が排ガスを吐いた
時速36kmさん公式サイトより

前半の「泣きそうになってら さみぃから余計響くのかなぁ」という歌詞は情景描写としてはとても分かりやすい描写ですが「パンクロックと黄色い月 銀河鉄道が排ガスを吐いた」という歌詞はどちらかというと抽象的な描写なんじゃないかなと思います。

時速36kmさんの歌詞はこのような特徴があり、具体的な描写で分かりやすく頭の中で想像できるもの、一方でちょっと抽象的で、だけどどういう心情を伝えたいのか分かる歌詞の絶妙なバランスで成り立っていると思います。でも、状況をあまり狭めずにリスナーの想像に任せる塩梅こそが、沢山のリスナーに刺さる曲として語り継がれている理由かもしれませんね。実際、私の回りで時速36kmさんの話をすると「とても歌詞がいい」「心に刺さったバンドだ」といった意見を頂きます。

私は時速36kmさんの曲に大学生の頃に出会いましたが、物凄く突き刺さりました。夜中に一人暮らしのアパートを出て「銀河鉄道の夜明け」を聴きながらコンビニに惣菜を買いに行くあの瞬間は何気ないけどとてもエモーショナルで今となっては良い思い出です。

サウンドとしての銀河鉄道の夜明け

時速36kmのサウンドはどこか懐かしく、青春の1コマを写真として切り取ったようなサウンドが特徴かなと思います。その音像は、インスタントカメラやフィルムカメラで撮影した風景のように、少し色褪せながらも鮮やかに心に焼き付いていくようなサウンドです。Bメロのギターアルペジオは、淡い光のように揺らめき、疾走感のあるドラムと重なる事によって、過ぎ去っていく時間の切なさを感じさせます。

ボーカルの温かくも儚い歌声が、記憶の片隅に残る青春的な景色を優しく呼び起こし、楽曲全体がまるで一本のショートムービーのように展開していくのが印象的です。派手過ぎず、しかし確かなエモーションを湛えたサウンドが「青春」という時間の儚さと輝きを見後に表現していると感じます。

恐らく、上記のように感じてしまう理由としてはギターサウンドの程良いクランチ的な歪みと、ボーカルのウワモノ楽器のハーモニーがノスタルジックな雰囲気を醸し出しているんだと思います。そこにベースが曲の土台を下支えしつつも、ドラムのキメと合わせながら演奏するため楽曲全体にグルー感が出て、荒々しくも触れたらすぐ壊れてしまいそうな若々しさを出しているんだと思います。

個人的にグッときた歌詞

この曲の節々に出てくる歌詞全てが好きではあるのですが、特に好きな歌詞が、

まずはなんか 食いに行こうぜって事さ
時速36kmさん公式サイトより

というフレーズです。この歌詞最強過ぎませんか?どんなに辛い事があっても「まずはなんか食いに行こうぜ」って言ってくれる友達がいたら最強だという気持ちになりました。美味しいご飯を食べて、悲しい事や辛い事から脱する事が出来るんじゃないか。そんな一抹の希望を明日に託して今日も眠る。そんな風景が目に浮かびました。

さて、いかがだったでしょうか。この曲は私が丁度学生時代の頃に出会い、若さが故に抱えた様々な困難や苦悩で辛かった時期を乗り越えさせてくれた大切な1曲です。大人になった今でもずっと聞いている大切な曲なので、今日この記事に出会った方にも少しでも心の支えになってくれたらなと思います。

本日の紹介はここまで。ありがとうございました!

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