
SASUKE「平成終わるってよ」徹底解説──平成最後の青春ソングが描くノスタルジアとユーモア
皆さんこんにちは。音文学管理人の池ちゃんです。お盆期間いかがお過ごしでしょうか。今日も音文学の記事を更新していこうと思います。今日はSASUKEさんの「平成終わるってよ」について、解説していこうと思います。
ちなみに前回の記事は、Perfumeで「チョコレイト・ディスコ」を紹介しています。是非、併せてご覧ください。記事はこちらから。
目次
はじめに
2019年4月30日、平成の時代は幕を閉じました。その直前、多くの人々が「平成最後」という言葉を口にし、SNSは記念投稿で溢れかえったことを記憶に覚えています。そんな時代の空気感を音楽としてユーモラスにかつエモーショナルに切り取ったのが、SASUKEの「平成終わるってよ」です。
本記事では、この楽曲が持つ音楽的魅力、歌詞に込められたメッセージ、そして平成から令和へ移り変わる時代の中での位置づけをライナーノーツ的な視点で紐解いていきます。
SASUKEさんとは?──若き音楽クリエイターの多彩な才能
中高生時代からの活動とバズのきっかけ
SASUKEさんは、幼少期から音楽制作に触れ、中高生の頃からYouTubeやSNSで注目を集めた新世代のクリエイターです。セルフプロデュースで楽曲を作り上げるそのスタイルは、デジタルネイティブならではのスピード感と柔軟性を感じさせます。
ジャンルを横断するサウンドセンス
ヒップホップ、エレクトロ、ポップスなど多様なジャンルをミックスし、ユニークなリズム感とポップなメロディを融合させるSASUKEさんの楽曲は、リスナー層を限定せずに幅広く響きます。SASUKEさんの音楽はアコースティックドラムを用いる時もあれば、リズムマシン的なアプローチをする場合もあり、ジャンルは多彩です。
「平成終わるってよ」とはどんな曲か?
タイトルが放つインパクト
曲名そのものがキャッチコピーのような存在感を放っています。SNSでの拡散性を強く意識したフレーズではないでしょうか。初めて目にした人にも一瞬で「どんな曲だろう?」と興味を抱かせてくれます。「平成終わるってよ」というどこか噂を一言いうような流動的なワードセンスがとても良いなと思いました。
軽快で耳に残るメロディ
「平成終わるってよ」は、軽快なテンポと中毒性の高いフレーズが特徴です。明るくポップなビートの裏に、時代の移ろいを受け止める切なさが見え隠れしています。平成は明るくも切ない時代だったなと思い返せる──そんな演出が曲中の随所で散りばめられていて興味深いです。
サウンド分析:デジタルポップと平成カルチャーの融合
リズムとビートの設計
エレクトロニックなリズムが楽曲の基盤を支え、チップチューンやシンセの音色がどこか懐かしい「平成らしさ」を醸し出します。このサウンド設計は90年代から2010年代までのポップカルチャーを凝縮したような印象を与えます。ガラケーの時代背景を彷彿とさせる演出もミュージックビデオの中で雰囲気を感じる事ができます。
ボーカルワークとエフェクト
軽やかなボーカルにダブリングという録音手法がとられているように伺えます。この厚みを持たせたボーカルが、ポップと遊び心を際立たせていると思います。ですが、決して過剰過ぎない加工が、楽曲の軽快さを損なわずにキャッチ―さを増幅していると思います。
歌詞解釈:「平成」と「さよなら」の距離感
ユーモアの中のセンチメント
間奏部分で「新しい元号は平成であります」という有名な映像の音声部分をサンプリングしている箇所があります。そのようなサンプリングを筆頭に歌詞には直接的な時代の言葉が散りばめられているのが分かります。平成が終わるという部分にどこか寂しさを感じさせる演出もありますが、総じて次の時代を生きていこうぜという前向きな歌詞とも捉えられます。
聴く人によって変わる受け止め方
平成を青春期として過ごしてきた人には甘酸っぱい思い出を、令和生まれや幼い世代には「昔の時代ってこうだったんだ」という新鮮さを与えます。ミュージックビデオでも懐かしい平成のファッションなどが取り上げられています。こういった多層的な響きこそが、この曲が長く愛される理由だと思われます。
「平成終わるってよ」のリリース背景と文化的意義
SNS時代の音楽の在り方
この曲がリリースされた当初X(旧Twitter)などで平成最後というワードがトレンドワードになった事も私は薄っすら覚えています。そんな中話題となったのがSASUKEさんの「平成終わるってよ」でした。SNSでの平成が終わるというある意味お祭りな雰囲気を見事に捉え、本楽曲は人気曲となりました。
平成カルチャー総決算的存在
平成の終わりに発表さえたことで、この楽曲は「時代のドキュメント」としても機能します。音楽だけではなく、ネット文化や社会全体の空気感までパッケージ化している点がユニークです。平成という時代はインターネットが出現して大きく時代の流れが変わってきたと思います。このミュージックビデオが投稿されたYouTubeも平成時代に出てきたものです。そういった新たなカルチャーが出てきた「流れ」を見事に表現していると思います。
まとめ:「平成終わるってよ」は平成と令和をつなぐポップアンセム
「平成終わるってよ」は、単なる平成回顧ソングではありません。時代の変わり目という一瞬の空気感をポップでありながらも情緒的に切り取った稀有な楽曲だと思われます。SASUKEさんのユーモアと感性が凝縮されたこの楽曲は、今後も「平成・平成の終わりを象徴する一曲」として語り継がれていくと思います。
最後にSASUKEさんのリットリンクのURLを共有させていただきます。現在はSASUKEではなく原口沙輔という名前で活動されています。リンクはこちらから。

音文学管理人。TSUJIMOTO FAMILY GROUP主宰。トラックメイカーでもありながら、音文学にて文学的に音楽を分析している。年間数万分を音楽鑑賞に費やし、生粋の音楽好きである。また、辻本恭介名義で小説を執筆しており処女作「私が愛した人は秘密に満ちていました。」大反響を呼び、TSUJIMOTO FAMILY GROUPの前身団体とも言えるスタジオ辻本を旗揚げするまでに至っている。