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ナナヲアカリさんで「明日の私に幸あれ」──不器用な自分を肯定する、ひとりぼっちのアンセム

2025.6.28

#ナナヲアカリ#ライナーノーツ#レコメンド#曲紹介#玉屋2060%

皆さんこんにちは!音文学管理人の池ちゃんです。2025年の梅雨明けは観測史上最速という事で、早速暑さが襲ってきています。例年通り猛暑日が続きそうですが、音文学はしっかりと更新を続けていきますので、よろしくお願いいたします。

さて、今回特集するのはナナヲアカリさんの曲で「明日の私に幸あれ」という曲です。この曲を知ったのは最近でして、調べてみたら2025年1月18日にリリースされていて、実に半年の年月が経っていたようです。きっかけはYouTubeのショート動画で本楽曲が使われており、何とも耳に残る曲だなぁと思いSpotifyでディグっちゃいました。

さて、今回も紹介頑張っていきましょう!

ちなみに前回紹介した楽曲はHALFBYで「Rodeo Machine」です。解説記事はこちらからどうぞ。

ナナヲアカリさんとは?

ナナヲアカリさんについて、色々と調べてみました。私が最初にナナヲアカリさんを知ったのは2020年1月18日にリリースされた「チューリングラブ」が初めましてでした。何たる偶然か「チューリングラブ」がリリースされた5年後に「明日の私に幸あれ」がリリースされています。これは狙ったのかどうが、気になりますが内部の人間ではないため、分かりません。

ナナヲアカリさんの経歴としては2010年代初頭にバンド活動を開始したそうです。そこから2014年にソロ活動、即ちナナヲアカリとして活動を開始したとの事です。この時期から音楽のメジャーレーベルにデモ音源を送っていたとの事です。この辺りの記事情報は下記のWEBメディアを参照しました。

アーティスト・ナナヲアカリ インタビュー 『1人だから始めた動画投稿は、気づいたら世間とつながるツールになった』 【クリエイターの原点 vol.4】リンク

特徴としてはソプラノな高い音域の声と「明日の私に幸あれ」に関しては早口気味の歌唱です。楽曲には、中毒性のあるメロディと、自分自身を鼓舞する歌詞だったり反面自分自身を否定する歌詞がせめぎ合っており、ナナヲアカリさんの音楽は「自分を大切にしたい。抱きしめたいけど抱きしめられない」人達に寄り添うものだと言えます。

「明日の私に幸あれ」の全体を聴いた時の所感

プロデューサー情報を調べたところ、ソングライターとして玉屋2060%さんの名前がありました。私は玉屋2060%さんのバンドWiennersの大ファンなので、正直この曲を聴いた瞬間「玉屋サウンドだ!」と気づきました。

さて、この曲の特徴として挙げられるのは、まず大前提としてポップスであるという点です。ポップスは言わずもがな大衆音楽として定着しています。そのため、ファーストインプレッションとしては、かなり入りやすい楽曲になっているなと思いました。そういった背景もあってポップスとしての聴きやすさは存分に発揮されていますが、歌詞に着目するとどこか壊れそうな危うさを兼ね揃えているなと思いました。そうなんです。ここがこの曲の面白いところなんです。軽快なリズムやキュートなイントロに対して、歌詞はがっつり孤独や無力感が描かれています。

ジャンルとしては流石は玉屋2060%さん、ギターポップ、もしくはポップロックよりのサウンド設計で歌詞の内容に反して「なんか明るいな」みたいな音色で進んでいく点も魅力の一つです。

歌詞を解釈してみた。弱さと自己嫌悪の中にある、静かな希望

タイトルにもなっている「明日の私に幸あれ」というフレーズには思わず唸りました。幸あれという言葉は、一般的には自分以外──即ち他社に向けて「幸あれ」というケースは多いんじゃないでしょうか。それなのに、この曲では「明日のに幸あれ」と「私」自身に向けています。これが意味する事は、まるで誰にも頼れない”自分自身”へ向けた願いなのかなと思いました。

それを裏付けるため、歌詞を眺めてみました。

・嫌な外的要素
・悪気もなく邪魔するどっかの誰かさんにバイバイ
・明日の私のために今日もなんとか頑張るのさ
・明日ももう頑張らなくてもいいように頑張るのさ
引用:歌ネット

こうしたフレーズから浮かび上がるのは、周囲へ気を遣い過ぎたり、自分の感情を抑え込む事によって生まれるギャップに苦しむ”優しすぎる人”の姿が思い浮かびました。

ただ、自分の感情でもある

・眠くなったら寝る
・お昼過ぎに起きる
・遊びたくて遊ぶ
引用:歌ネット

といった感情も歌詞に込められているので、最後にはほんの少し前を向いて「明日の私が少しでも良い方向に進むように」と願う姿勢が見えてきます。しかし、これは希望なのかは疑問です。寧ろ「まだ終わっていない」というささやかな人生を長く続けていく意志かもしれません。

サウンド面の分析。ポップとロックのバランスが織りなす”共感のテンション”

「明日の私に幸あれ」のサウンド面について掘り下げていきましょう。この楽曲のサウンドの特徴としては、ギターリフやパーカッションの切り替えによって、どことなくある感情の浮き沈みを巧みに表現しているのではないでしょうか。

この構成が面白いのは、玉屋サウンドで王道の転調が取り入れられているところかなと思います。Aメロは曲始まりからAメロまでは、Aメジャーで進んでいます。しかし、BメロからサビはなんとCメジャーに変わっているんですね。音楽的には確か短三度の移調という事になる訳です。理論的には間違えではありません。このような構造から聴き手は歌詞の「抑圧から希望」への起伏を、音楽的にも自然に体験できるという訳です。面白い効果を狙っていると思います。

ナナヲアカリさんの系譜と「明日の私に幸あれ」の位置づけ

ナナヲアカリさんの楽曲の特徴として、私が良く知っている「チューリングラブ」から紐解いてみます。チューリングラブは「恋」というキーワードを基に数学的な知的な雰囲気を掛け合わせた独自の世界観があるかと思います。まるで、高校生のような思春期の若者のの共感性を奮い立たせる構成になっていると思います。と同時に、明確には言い表せないのですが「抜け出せない孤独感」というところも大事なキーワードになってくるかなと思っています。そして、楽曲を聴いた後にその共感の質が穏やかで、持続的だと思います。世界観が完成されていて、一本の映画を観ているような感覚に陥ると考えています。

そして、今回取り上げている「明日の私に幸あれ」ですが、チューリングラブと比べても内面への眼差しが強く、曲調こそ爆発力が高いですがどこか静かなリアリティが際立っていると思います。即ち、この曲はナナヲアカリさんの楽曲の中でも特に、辛い仕事や日常からの”しんどさ”に優しく寄り添うアンセムだと言えると思います。

まとめ:生きづらい全ての皆(私)に贈る、不完全さの賛歌

ここまで読んでいただきありがとうございます。まとめに入ります。まとめると「明日の私に幸あれ」は、完璧になれない自分を責めながらも、少しだけでも明るいかもしれない明日に期待してみようとする、不器用ながらも願いが強い希望の歌であると思います。

そのメッセージは、決して大袈裟でも派手でもありません。しかしながら、「今日がしんどかった人」がほんの少しだけでも呼吸しやすくなるような、生きやすくなるような優しい風を吹かせてくれる一曲だと思います。

ナナヲアカリさんが歌うのは、理想的な”明日の私”ではなく、現実の”今の私”に寄り添う音楽なのかもしれないですね。今日を一日生きれて偉いと、皆さん褒めてあげましょう。そういった想いがこの曲には込められていると思います。

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